★ California Way ★


〜El Mirage スピードレーシング参戦記〜    11月18日2001年

 

            

ロサンジェルスから北東へ120マイルほど離れた場所に、El Mirage という Dry Lake があります。 その名の通りもともと湖だったその場所が乾ききり、そして凹凸が消え平坦な場所になってます。その平坦率はもちろん車のレースができるほど滑らかで、ロサンジェルスの一般道よりはるかにいい状態です。

我々がこのレースに参戦し始めたのがさかのぼること1997年。今年で5年目となる。数々の改善を車に施し、立ちはかだる困難!?を乗り越え本格的なレースを行なえるようになったのが昨年から。

さて、このスピードレーシングとは?
主催者は Southern California Timing AssociationとBonneville Nationals, Inc

El Mirage Dry Lakeでのレースは 1.3 mile (およそ2キロ)の直線コースとなる。
レースの主目的はスタートからゴールまでの秒速を競うのではなく、1.3マイル地点での最高速を競うこと。という訳でスタートは割合にゆっくり、ほとんどのレースカーがプッシングスタートという方式を採用している。対相手ではなくレースは1台ずつのみ。

一般参加者のレースではあるが、やることは本格的でレース参加の規則も非常に厳しい。5月から11月までレースがあるのだが、毎回すべてのレースカーはレギュレーションにパスしなければ出場できないことになっている。レーサーはもちろんヘルメットに耐火スーツ着用。レースカーにはロールバーはもちろんのこと、レース用のシートベルト、パラシュート、消火器にバッテリーディスコネクターなど数々の安全装置は義務付けられている。なんでもレース中に横転し大怪我をする人も何人もいるそうだ。そう言えば、レース観戦者に腕のない人や足のない人がいるなぁ...

            私の友人である N.I.(通称“Z”と表記) のレースカーは彼の自作車である。こつこつと暇を見つけては誰の手も借りずにすべてを独りで行なうあたりは脱帽だ。ほとんどの給料を車に注ぎ込む姿勢は真剣そのもの。が、これほどお金の掛かるTOYもないだろうに...周りにもこれほど自分の“夢”に向かい突き進んでいく人はまずいない。なんだか誉めてるんだかどうだかの紹介になってしまったが、そのレースカーは1974年のZをベースにChevyV8エンジンを搭載し、ツインターボを組み込んでいる。ペイントは他のレースカーと比べてもわかるようになんにもしてない。彼いわく“200マイルオーバー”を記録した時点でペイントするそうだ。早くその時を祈る! 写真でもわかるが見た目には(失礼!)かなり早そう。何度も観戦者に写真を取られるのがそのかっこ良さ!?を物語る。 一緒にレース参戦を数年行なってきたわけだが、前述した通り本格的にレースらしくなってきたのは昨年2000年からなのだ。そしてようやく今年から記録への挑戦への年だった。

        11月18日、2001年のEl Mirage Dry Lakes Land Speed Racingの最終日、今年の最後を締めくくる為にもいい記録をぜひともだして欲しいものだ。レースの出場は結構早め、スタートは8時頃からとなる。気候的にもロードコンディション的にも早めのレースのがいい! なんてったって昼間は砂漠ということもあり40℃を越える熱さとなるのだ。運良く20番目ほどでスタートをきれるみたいだ。ここで私とZの役割を説明しよう。Z.はレーサー、件、メカニックである。記録を出すのもZ。そしてその記録を作るマシンを整備するのもZなのである。じゃぁ私は何? ということになるわけだが、主な役割はプッシングカーの運転とZの補佐である。Zカーは自走スタートは不可能...いややろうと思えば可能ではあるが、マシンのギア比などを高めている為、停車からのスタートだとかなりクラッチ系に負担を与えてしますからだ。それとレース終了後はプッシングカーにてリターン、もしくは牽引とルールで定められているのだ。

 

 

 

スタートラインに並ぶとまず待ち受けているのが2人のレース進行者。我々がレース参加してから2人の面々は変わらない...彼らによるレースカーとレーサーの安全確認を経た上でコースのクリアー状況が無線で指示されると、スタートOKの合図がでる。プッシングカー担当、スタートラインへの最終的なレースカープッシュ、そしてレーサーへのシートベルト装着補佐...とまぁ他のレースチームがグループで行なってきてることを1人でやってるんだから、私の苦労に報いる為にもいい結果、そして安全に走ってくれよ! なんてことを思いながら、プッシングカーに乗り込む。この瞬間が一番緊張するんだなぁ。私がこれくらい緊張するんだから、ハンドルを握っている彼の心臓はもう“バクバク”だろう。エンジン始動! 轟音を立ててエンジンがスタート。“う〜ん、いいサウンドだ”これならかなり期待できそうだ。スターターの腕がスタートのシグナルを出す。そして彼からもプッシュの合図。 ゆっくりとアクセルを踏み込みレースカーをプッシュしながらコースへ出て行く。これから離脱するまで私の視線はほぼレースカーのみを見ての運転。なんせコースは砂地だから彼のハンドリング次第では右へ左に車が揺れるのだ。速度計は30マイルを越えた。その瞬間、ふっとプッシュ感が消える。エンジン全開スタートの瞬間である。ものすごい轟音と煙を巻き上げながら一直線に進む“Zカー”瞬く間に間近にあったZカーが点へと変わっていく。その点になりつつあるZカーを後に私はコースから離脱。1.3マイル先に待つZを迎えに行く。ラジオからのレース中継に耳を傾けると...すぐにレース結果が報告される。“カーナンバー:742、154.863mile/hour(時速:247.78キロ)”おそらくZは不満だろうな。私にはZにとっての最高記録であるわけだしいいんじゃないの? でも予想では、オーバー160mile/hourを期待してだけに残念だ。とにかくZを迎えに行かなくては...

待ち受けているZカーを見ると“あれパラシュートが開いてない!” レース終了時には必ずパラシュートを開かなくてはならないのだ。開かなかった原因はこうだ“パラシュートを開くレバーからのワイヤーが壊れてしまった...”まっ今みたいなスピードでは開かなくてもいいかぁ、だってまた収納するのが面倒だから...これが私の本音であったりする。

ピットに帰り休憩。おそらく第2走できるのは3時間後くらいだろう。

第2走までの間、これまでゆっくりと観戦できなかったレースを見て周ることにした。これまでは自身のレースでいっぱいで他のレース模様を観戦したことがなかったからだ。その前に友人であり、N.I.のメカニカル師匠であり、そしてライバルのレナードに会いに行った。レナードは我々のクラスのコースレコード保持者なのだ。(記録:240.752mile/hour;およそ385キロ)相変わらずきれいな仕上がりを見せる真っ赤なレースカー。見るからに早そうだ。このレースカーのボディーはもちろん手作りレナードのお祖父さんが仕上げたもの。一家全員オートレースにのめり込んでいる。幾つかのアドバイスを受け後、Zカーの調整をすることに。

それからレース待ちをしているラインへ出向く。見慣れたレースカーも多いが、今年の最終トライアルということも有り新人(ルーキー)も見かけるなぁ。それにしてもみんな車好きである。(あまり人のことも言えないが...)

走行しているうちに本日、第2走の準備に取り掛かる。やはり朝よりも気温は高め。耐火スーツを着込んで待機しているレーサーはそうとう暑いに違いない。さて、我々の番がやってきた。もちろん160mileオーバーを狙いたい。そしてスタート。先ほどのアドバイスを受けZカーを調整したのがよかったのかいいエンジンサウンドだ。粉塵を巻き上げながら疾走していくZカー。FMから流れるアナウンスに耳を傾けながら豆粒くらいになったZカーを追っていく。“うん? 粉塵の流れが変だ!”アナウンスが記録を告げる“158mile/hour”まぁまぁか、記録は達成出来てないが第1走目よりは伸びている。とその時アナウンスが不吉なことを告げる。“Zカースピン”である。やはり先ほどの粉塵の流れが変わったのはZカーがスピンしたときに出来たものだったのか...急いでプッシングカーを進める。まだコース上に居るんではないか。他のレスキューがZカーをプッシュしてくれている。的確なレスキューはしっかりとこのレースが運営されている証拠だ。さて、Zカーもとりあえず無事。そしてN.I.もとにかく無事でなによりだ。話を聞くとゴール手前からスピンを始めそのままゴールしたそうだ。スピンがなければ確実に160mileは出ていたに違いない。

Zカーをプッシュしながらピットに帰る。レース観戦者の前を通り過ぎるたびに、拍手が沸きあがる。別にコースレコードを出したわけでもないのだが、どうもスピンしたことからの無事をたたえる? ものらしい。それにしてもなんだか恥ずかしい...

というわけで2001年度のレースも無事終了! 来年度は又5月からスタートとなる。次回は160mileオーバーをそうそうに達成し、そしてオーバー200mileに挑戦だ。N.I.もZカーもお疲れ様。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 
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